日本はなぜ負けたのか──と聞けば、多くの人はどうしても戦争のことを思い浮かべると思うんですが、最近では、この30年ほどの停滞を指して使うことも増えてきたように感じます。気づいたら他の国に追いつかれ、さらに追い越されつつある。そんな状況をどこかで「負けた」と表現したくなるのかもしれません。

ニューヨークで学生をしていた頃、周りには多くの中国人留学生がいました。彼らは本当に勤勉で、寝る間も惜しんで勉強していたんですよね。今思い返してみても、その集中力や“やり切ろう”とする姿勢には圧倒されました。当時は、今のように中国の留学生が裕福とは限らず、むしろ苦労している人も多かったと思うのですが、それでも「ここで結果を出す」という強い意志を感じました。

その必死さが、戦後の日本人の雰囲気とどこか重なって見える瞬間がありました。努力すれば人生は変えられる、そんな素朴な信念を持って、ひたむきに働いていた頃の日本です。いま振り返ると、あの時期の日本の勢いは本当にすごかったなと思います。

一方で、今の日本は「無理せず働こう」という方向が強くなっています。もちろんその方が健全だと思いますし、昔に戻る必要もないと思います。ただ、かつてあった“無茶な努力を美徳とする”ような雰囲気はすっかり影を潜めてしまいました。あの頃は「がむしゃらにやること」に少し誇りがあった気がするのですが、今だとむしろ避けたほうがいいものとして扱われます。

かつて日本人は「エコノミックアニマル」と揶揄されるほど働いていました。皮肉だったにしても、それだけ前へ進もうという力があった時代だったわけで、今ではその面影を思い出すのも難しくなってきました。

その間に、中国をはじめとするアジアの国々は、かつての日本のような勢いで伸びていった。努力すれば報われると、みんなが本気で信じていたんだと思います。あれだけの熱量を持った人たちが何百万といれば、そりゃ国全体も伸びていくよなと感じます。

日本にももちろん良さがあります。丁寧さや品質の高さは変わらず誇れるものです。ただ、いつの間にか勢いだけは置き忘れてしまい、時代のほうが先へ進んでしまったような、そんな風に感じます。

投稿者 Tanaka