もし昭和のビジネスマンが、ある日ふらりと現代にタイムスリップしてきたらどうなるんだろう——そんなことを、ときどき考えます。

背広にネクタイ、腕時計をしきりに確認しながら分厚い資料を抱え、「よし、やるぞ」と気合を入れていたあの姿。そのままの調子で今の日本に降り立ったら、最初に感じるのは戸惑いや、ちょっとした心配かもしれません。

「なんだか、ちょっと元気がないな」と。

昭和の後半を思い返すと、あの時代は“社会が前へ進む”ことが当たり前のように感じられました。人口は増え、企業は拡大し、給与も年齢とともに自然と上がっていく。社員は会社に尽くし、会社は社員を守る——そんな暗黙の了解が、まだ成立していた頃です。

良し悪しは別にしても、「頑張れば未来は良くなる」という物語が社会全体で共有されていました。あの空気は、今ではあまり感じなくなった気がします。

でも時代は流れ、平成に入ると、その勢いは急に速度を落としました。
バブルが弾け、就職氷河期が始まり、“失われた10年”と言われたものは、いつのまにか“20年”“30年”とも呼ばれるようになりました。働く人たちの価値観も変わり、「会社に尽くす」よりも「自分の生活を大事にする」方向へ重心が移っていきました。

ワークライフバランス、心理的安全性といった言葉が日常に入り、生活は豊かになった一方で、全体として慎重で、どこか安全策を選びがちな空気が強まったようにも感じます。
自分自身、この平成の空気の中で働いてきたので、特に否定したいわけではありません。ただ、「あぁ、時代が変わったんだな」と思う場面は増えました。

昭和と平成を比べてみると、本当に空気が違うなと思います。
昭和には、良い意味でも悪い意味でも「文句を言わずに突き進む」感じがありました。もちろん、その裏には理不尽もありました。

平成は、ある意味でその反動だったのかもしれません。
私自身は昭和生まれですが、社会人になったのは平成で、ちょうど時代の変わり目をまたぐように働いてきました。「みんなでバランスよく」「誰も傷つけないように」「無理をしない」
そんな方向に社会全体が舵を切ったように見えます。

どちらが良い悪いという話ではなく、ただ、時代が変わると人の動き方も、会社のリズムも、社会のテンポも変わるんだなと、感じます。

投稿者 Tanaka

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