翌日になると、不安はさらに大きくなった。
ずっとこのままなのだろうか……。治す方法はないのだろうか……。
インターネットで調べれば調べるほど、良い話が一つとして出てこない。加齢によるものだから基本的には治らない。薬もない。手術はあるもののリスクが高く、よほどの場合でなければ勧められない。
そんな内容ばかりが目につく。
私の場合、目の前にどんと居座るような黒いモヤモヤが複数あり、それがふわふわと浮いている。視界に入るたびに気になってしまう。
「生理的飛蚊症なので問題ありません」
診断としてはそうなのだろうが、だからといって簡単に「そうですか」と受け入れるのは難しかった。
そこで改めて、会社の近くの別の眼科にも行ってみることにした。
いわゆるセカンドオピニオンというほど大げさなものではないが、もう少し詳しい説明を聞きたかったのである。
こちらの眼科では、眼の模型を使ってとても丁寧に説明していただいた。
今回の飛蚊症は、加齢とともに目の中を満たしているゼリー状の硝子体が少しずつ液化・収縮し、ある時点で網膜から自然にはがれることで発生したもので、これを後部硝子体剥離というのだそうだ。
私の場合は、その際に生じた硝子体の混濁が網膜に影を落としているため、黒いモヤモヤや糸くずのようなものが飛んで見えているらしい。
また、前日の眼科での診断結果と同じく、眼底検査では網膜裂孔や網膜剝離は認められず、網膜そのものには異常がないことも改めて確認された。そのため、現時点では治療の必要はなく、経過観察とのことだった。
さらに、現在は症状が出たばかりで、もっとも気になる時期だという説明も受けた。
今見えているモヤモヤそのものが消えるわけではないが、時間の経過とともに濁りの位置が変わったり、脳が慣れてきたりして、数か月かけて徐々に気にならなくなることが多いそうだ。
もちろん元どおりになるとは限らない。
それでも、
「今が一番悪い状態です」
「これから少しずつ見やすくなっていくと思いますよ」
と説明していただけたことで、気持ちは少し前向きになった。
前日の眼科ではほとんど説明がなかったので、私はインターネットで調べては落ち込み、調べては不安になることを繰り返していた。
同じ「生理的飛蚊症」という診断でも、丁寧な説明を受けるだけで受け止め方はずいぶん違うものだと感じた。
黒いモヤモヤは今も視界の中にいる。
正直なところ、明日の朝になったらすべてが夢であってほしいとも思うが、そんなことはないだろう。それでも、「この状態が永遠に続くわけではないかもしれない」と思えるようになっただけでも、大きな前進だったように思う。
年齢を重ねると、こうした体の変化が少しずつ増えていくのだろう。今回の飛蚊症も、その一つなのかもしれない。
これも何かの縁なので、自分の目のことや飛蚊症、後部硝子体剥離についても、もう少し知識を深めてみたいと思う。不安だから調べるのではなく、正しく理解することで少しでも落ち着いて向き合えるようになれればと思う。