最近、終の棲家について考えることが増えてきました。引退までまだ十年ほどあるはずなのですが、気持ちだけが少し先を歩いているような感覚があります。

今は東京のマンション暮らしで、特別大きな不満があるわけではありません。それでも、自然のそばで庭のある家に暮らしてみたいという思いが、以前よりほんの少し強くなってきました。夏は涼しく、冬も極端に厳しくない場所で、静かに暮らす日々をふと想像してしまいます。

軽井沢、箱根、日光、勝浦。
名前を挙げるだけでも、それぞれに魅力があって、どこも暮らしを思い描くには十分すぎる場所です。ただ、実際の住まいと考えると、いろいろと現実的な疑問も頭をもたげてきます。どこも素晴らしい土地なのですが、いざ暮らすとなると慎重にもなります。

ここ数年はインフレの影響もあって、大きな買い物に対する気持ちのハードルが以前より高くなったように感じます。土地代や建築費、それに維持費がどう変動していくのか予測しづらい中で、終の棲家を計画として持つ難しさも見えてきます。庭が広ければ管理も必要になりますし、固定資産税のようなランニングコストも小さくはありません。こうした具体的な数字を意識し始めると、理想だけでは判断しにくい部分がどうしても出てきます。

年齢を重ねるほど、医療へのアクセスの重要性も実感します。体調を崩したり、定期的な通院が必要になったりしたときに、遠い医療機関まで通う生活が果たして現実的なのか。自然豊かな環境に惹かれつつも、医療の安心感とのバランスをどう取るかは、避けて通れないテーマだなと思います。

観光地に住むという選択肢も、生活を考えると意外と現実的な面があります。インフラやお店が整っていることが多く、暮らしやすさという点では魅力的です。一方で、観光シーズンの賑わいや交通の混雑、土地の価格が気になる場合もあります。とはいえ、中心部から少し離れたエリアであれば、自然と利便性のバランスが取れる場所もありそうで、そこが落としどころになるのかもしれません。

まだ妄想の段階ではありますが、こうして考える時間は悪くありません。もしここに住んだらどうだろう、と想像することで、自分がどんな生活を心地よいと感じるのか、何を優先し、どこまで妥協できるのかが少しずつ見えてきます。

これからも気になる土地があれば訪れてみたり、少し長めに滞在してみたりして、いつか自然に「ここがいいな」と思える場所に出会えたらいいのかもしれません。焦らず、静かに。そんなふうに自分の終の棲家を探していけたらいいなと思っています。

投稿者 Tanaka